甘い甘いチョコレート バレンタインに渡す気持ちチョコ
だけどあなたは甘いものが大嫌い
私はどうすればいいのかな……?
sugary is modest
「バレンタイン?そんな外国の行事に興味はねぇな」
「………言うと思った」
神田の答えに、は溜め息を吐いた。
予想はしていた返答だけど、やはり面と向かって言い切られるのは悲しく思うものがある。
バレンタインを期待していれば、いた程に。
「それがどうしたんだよ?」
「んー…いやね、ユウにチョコを上げたいなって思ったの
といっても、ユウは甘いもの嫌いだもんねぇ…」
「ああ、嫌いだな」
甘いものが好きならば、こういった行事も好きでいてくれたのだろうか。
そんな事を想像するが、そうすれば今の神田の性格も変わってきているはずだろう。
…ユウがユウじゃなかったら、なんだか嫌だな…
そんな考えに行きついた。
「じゃあさ、甘くない…甘さ控えめのチョコだったら貰ってくれる?」
甘くない、というのは難しいかもしれない。
チョコを使っているのだから、どこかで甘さはあるはずだ。
甘いものが嫌いな人なら、きっと過敏に反応してしまうだろうから。
だからは言い直したのだ。
「…まぁ、俺が食える甘さだったらな」
「本当!?じゃぁ、楽しみにしててよね!」
神田の言葉は、無理だと言わんばかりに溜め息交じりだった。
けれど、にはそんな事は全然関係なかった。
声を上げると同時に駆け出し、神田に手を振り姿を消した。
「………騒がしい奴」
そんなを見つめ、神田は苦笑を浮かべたのだった。
「うーん…甘さ控えめのチョコかぁ
どうしようかな…やっぱりビターチョコかなぁ」
首をかしげ、は目の前にディスプレイされたチョコ達を見つめていた。
ここは街中にあるデパートの、バレンタインコーナーだった。
「なるべく苦めの買わないと……」
そう言いつつ、の視線はあちらこちらへと流れていく。
ビターチョコに視線を留めながら、うーんと唸った。
どれもおいしそうなんだよなぁ……
ユウはどれが好きかなぁ…難しいよねぇ…
神田を思いながら視線を馳せる。
なるべく好きそうなチョコを選び、神田を喜ばせたいはチョコ選びに必死だった。
「どうかなさいましたか、お客様」
「あ」
掛けられた声に視線を上げた。
長時間バレンタインコーナーで唸り声を上げていたのだから、店の人が声を掛けてくるのは不自然ではなかった。
苦笑に似た、少し戸惑った笑みをは浮かべた。
「甘さ控えめのチョコで、どれがいいかと思って……」
「それでしたら……こちらとこちらがお勧めですね」
そう言って手渡された包装紙と同じチョコをディスプレイから見つけ出し、二つのチョコを見比べた。
どちらが神田の好みかどうか、それが問題だったから。
「ありがとうございます 少し考えてみます」
「いえ ではごゆっくり」
の言葉に店の人は笑顔を浮かべ、一礼すると背中を向けた。
そうしてはまた、チョコを見比べ選び始めた。
どうしよう…本当にどうしよう……
ええとええと……
二つのチョコを行き来する視線。
内心慌てだす。
ど、どっちも美味しそうだよっ
うー、とどうしても唸ってしまう。
そして、は直感で選ぶことにした。
「ええいっ これにするっ!」
そういい、は黒と青のチェックの包装紙の箱を選んだ。
「ユ〜〜〜ウ〜〜〜」
「…何だよ 気色悪ぃ声出して」
ニヘラニヘラと笑みを浮かべ、駆け寄ってくるに神田は眉間のシワをより一層深くした。
その表情に、言葉にちょっとだけはショックを受けた。
「何よー そんな風に言わなくてもいいじゃん
折角、ユウにいいものプレゼントしに来たのに」
「バレンタインのか?」
この間話したばかりだから、そうなるのは当然。
だからはコクンと一つ、縦に首を動かすと。
ス…
「あ?」
「だから、プレゼント 受け取ってくれるでしょ?」
差し出した箱を見つめ、声を上げる神田には首を横に傾けた。
軽く、ほんの少しだけ。
「………手作り…じゃなさそうだな」
「え?もしかしてユウ、私の手作りが良かったの?」
ボソッと呟かれた言葉は、運良くの耳に入った。
そして、少しだけ期待する瞳を向けて問い掛けた。
まさか、ね
そんな事あるはず…………
ゴクン
息を呑む。
「期待はしちゃいなかったけどな ま、お前のなら食べてみてもいいかとは思ってはいた」
「…な、何よ〜
それならそうと、早く言ってくれれば……私だって手作りしたのに」
「ンな事、俺から言えるわけねェだろ!?」
神田の言葉に肩の力が抜けた。
本当なら手作りを渡したいとは思っていたのだから、よりガッカリした。
「でも、私の手作りだと……甘さ控えめにはならなかったかもしれないよ?」
「ふんっ お前のなら無理でも食う」
自身があまり苦いチョコは好きではなかった。
手作りとなれば味見だって必要だから、もしかすると神田にとっては苦くないチョコが出来たかもしれない。
それを気にしていたからこそ市販のものにしたのだが、余計な考えだったらしい。
「ユッ、ユウッ 来年は絶対手作りするから!」
無理でも食べるという神田の言葉に、は歓喜余った。
満面の笑みを浮かべ、そう宣言すると神田に抱き付いた。
「ハッピーバレンタインデー!ユウ!」
首に腕を巻き付け、耳元でそう囁いた。
.....................end
バレンタインのフリー夢です。
甘さ控えめというタイトルなのに、甘いという中身。(笑)
やっぱり神田はツンデレじゃないと駄目だ!(何)
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