「…来ない」
プゥっと膨らむ頬。
目の前にはすでに冷めてしまったお茶が一つ。
「…約束したのに 折角美味しいお茶淹れて待ってたのに…」
見つめる先は自室の時計。
三つ編みポニーテールに縛った少女、はソファーに身を投げた。
「……ラビの嘘つき」
冷たいお茶と私と君
「ホント、悪かったさー 、許してくれさー」
「やだ」
教団の食堂。
料理を乗せたお盆を持って席へと向かうを追いかけるラビの姿があった。
真っ赤な髪の目立つ眼帯を付けた、エクソシスト。
「折角任務から帰ってきたら寄ってくれるって言ってたから、お茶淹れて待ってたのに」
「だから、本当に悪かったさ」
「あのまま自室に帰って寝ちゃうなんて信じられない」
お盆をテーブルに乗せ、椅子に腰かける。
その目の前に、同じくお盆をテーブルに乗せて椅子に座るラビ。
ラビの言葉に返事もくれず、文句を垂れていた。
楽しみにしてたのに…
ラビの馬鹿…
不機嫌はそうそう直りそうもなく、パクッとフォークに絡めたパスタを口にした。
「…」
情けなく声を漏らすラビに、は相変わらずツーンとした反応ばかり。
周りのエクソシストや探索部隊(ファインダー)はいつもの事だと言わんばかりに関わらないよう離れていた。
「そのお茶、飲みたいさ」
「…は?」
ラビの発言には眉を潜めた。
ゴクンと食べていたものを呑みこみ、困惑した瞳を向ける。
「悪いけど、淹れて待つなんてまっぴらごめんだね」
「淹れなくていいさー
の事だから、昨日のお茶…保管してあるんだろ?」
その発言にピクリと反応を示した。
ずっと待っていたは、遅くに部屋に訪れても出せるようにとラップを掛けて保管していたのだ。
なかなか手に入らないお茶を捨てるのは勿体なく、ラビにどうしても飲んでもらいたかったから。
「あんな冷めたの、美味しいわけないじゃない」
「やっぱり捨ててないんだ」
「う…」
否定も肯定もしていなかった。
けれど、その発言は遠まわしに肯定しているようなものだった。
「冷めてても温かくても、が淹れてくれたのには変わりないさ
俺はが淹れてくれたお茶ならなんだっていいんさ」
その言葉にの顔は見る見るうちに赤くなっていった。
照れている証拠に、ラビは満足そうに笑みを漏らす。
「駄目さ?」
「……駄目、じゃない…」
真っ赤な顔で、上目使いでラビを見つめた。
嬉しい言葉に、怒りは収まり、愛しい気持ちが急上昇。
「じゃぁ、食事終わったらの部屋に行くさー」
嬉しそうなラビの発言に無言のままに頷く。
その様子にラビは内心、可愛いなぁとか思っていた。
冷めたお茶も…たまには役に立つんだね…
あんな嬉しい言葉…聞けるとは思ってもいなかったから…
たまには…こんなのも、いいかもしれない…ね
.................end
ラビ夢ーラビラビラビー!(><)
ラビはどこで語尾に『さ』がつくのか、考えるのが大変ですw
全部が全部『さ』がつくと変だし…でも『さ』がつくのがラビっぽいしってんで…
冷めたお茶の味は微妙ですが…こんな嬉しい言葉を貰えるなら、何度だって冷めさせましょう!!(おい)
D.Gray-man夢小説に戻る