あなたを手放すなんて…私には考えられない
分かって欲しい
私は私、あなたはあなた
だけど
私はあなた、あなたは私
「ちょっと!!」
声を荒げた少女が、真っ黒の髪を靡かせて部屋へと入ってきた。
「!?」
名前を呼ばれたは荒い息を整えながら、静かに扉を閉めた。
近づく足取りは重く、空気も徐々に沈む感じがした。
それだけ、にとってベッドで横たわる少年が大切だったのだ。
「…アレン また怪我、したんだって?」
「あ、うん ごめん」
「なんで謝るの?」
の言葉にアレンは眉をハの字にして、申し訳なさそうに見つめた。
謝る言葉には淡々とした口調で問い掛ける。
何も言えず、ただビクビクとの様子をアレンは窺う事しか出来なかった。
黒髪は、その雰囲気は、どこか同僚を思い出させる。
「アレン」
「ん?」
「私は、あなたに傷ついて欲しくないだけ」
ギュッ、と抱き締めながら言えば胸に広がる温もり。
確かにそこに存在している事が分かる温かさ。
大丈夫…
アレンはちゃんと私の目の前に居る…
ちゃんと生きてる…ちゃんと、帰ってきてる…
「ここには、行ったきり生きて帰って来られない人が沢山居る
私は…アレンにそうなって欲しくない…」
抱き締める腕に力が籠った。
アレンの頭がギュッとの胸に抱かれる。
「大丈夫ですよ、 僕は死んだりしません」
「当たり前でしょう!?死んだりしたら、私が承知しないんだから!」
アレンの笑いながら紡がれる言葉には怒声を上げた。
許さないと。
私達は二人で一つ…
欠ける事などあってはならない…
アレンの頭に回していた腕をゆっくりと緩めた。
引く手は徐々にアレンの頬に添えられ、触れるだけの静かな口付け。
ふわり、との香りがアレンの鼻腔を掠めた。
「…」
「覚えておいて、アレン」
「え?」
名前を呼ばれるも、その言葉に返事はなさず。
代わりに続けられた言葉にアレンが首を傾げた。
「もしも、もしもよ… もしも、アレンが死ぬような事があったら…
私はあなたを呼び覚ます」
「なっ 何を言っているのか分かってるんですかっ!?」
の言葉にアレンは慌てた。
エクソシストだからこそ、そして黒の教団に居るからこそやってはならないと分かっている事。
エクソシストである自身だって、いけない事なのは百も承知の事だろう。
「分かってるわ」
「なら、どうして……!」
「それはね…」
アレンの言葉に答えるべく、唇を開いた。
次の瞬間、はアレンに抱き付いていた。
否。
強く強く、アレンを抱き締めていた。
「私はアレンの事を、この上ない程に愛しているからよ」
「─────!
それなら尚更──!」
耳元に聞こえる言葉に、アレンの頬は赤くなる。
けれど紡がれる言葉は止めようとする言葉だった。
「私は…あなたに二度と会えなくなるくらいなら…禁忌だって犯す
あなたと一つになれるのなら…敵に裏返る事だってするわ」
ギシッ…
肩を軽く押せば、ベッドへと倒れ込むアレン。
怪我した身体は痛みに軋みながらも、否応なく沈む。
髪が当たるほどに近づくの顔に、アレンは息を呑んだ。
「そんな私を、アレンは受け入れてくれない?
そんな私は、アレンは嫌い?」
純粋な瞳がアレンを射抜く。
ドクン…
脈打つ鼓動に、アレンの頬は徐々に紅潮する。
痛む身体などどうでもいいと言わんばかりに、アレンは上に覆いかぶさるに腕を回した。
「嫌うわけ、ないじゃないですか…
僕は死にません あなたを伯爵の獲物になんてさせません」
「その言葉…信じていいんだよね?」
ゆっくりと、覆いかぶさるの身体は沈んでいく。
ベッドに横たわるアレンと重なり合うように、求め合うように。
「当り前じゃないですか
愛していますよ、
」
「私も……」
...................end
D.Gray-manの短編アレン夢です!
直前描写!濃厚キスシーンよりも直前だわ!(ぉわ)
きっと大切な人を亡くす気持ちは計り知れないんだと思います。
だからこそ、人は何をするか分からないんじゃないかなぁ…なんて。(苦笑)
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