「おい ここがホスト部の部室か?」


営業時間外の事だった。
突如扉を開け、音楽準備室へと足を踏み込んできたのは。












NotxxxPersist-ence 第一話












「あ、


「よっ、ハルヒ ったく……何でこんな所に来てるのかと思えば……」


部員メンバーの一人である、藤岡ハルヒがを指さして呟いた。
ガシガシと後頭部を掻きながら、はハルヒへと歩みを寄せた。


「ハルヒにとんでもない借金背負わせたっつーのは、誰だ?」



ふ、不機嫌極まりない────!!!



の物言いに、その場にいた全員がそう思った。
ハルヒに借金を背負わせた張本人である、鳳鏡夜を除いて。


「俺だが、何か?」


「ほー……あんたがか ハルヒがとんでもねぇ貧乏人だってのは知ってんだろ?」


ハルヒ本人を目の前に平気で口に出来る言葉ではないはずの言葉を、はズバッと言った。
その様子に、同じクラスであるハルヒや光と馨は苦笑を浮かべていた。


「だが、壊したものを弁償するのは当然の事だと思うが?
 それとも何か お前がハルヒの借金替わりをしてくれるとでも?」


「……いくらだ?」


鏡夜の言葉には首をかしげて問い掛けた。
ハルヒは勝手に進む話についていけず「え?え?」と鏡夜とを交互に見るしか出来なかった。


「八百万円だ 払えるのか?」


鏡夜の言葉に、は言葉に詰まった。


「は、八百万円だぁぁぁ────!?んな大金、ハルヒに吹っかけてんじゃねぇ!!」


「その反応からすると、お前にも払えない────……という事だな」


「くっ」


鏡夜の図星をさす言葉に、は奥歯を噛みしめた。
ハルヒを助けたいという思いが、どうしても空回りしてしまっていた。


「しかし、家の次女は何とも口が悪いものだな」


「「「「「次女ぉぉぉ────!?」」」」」


鏡夜の言葉に、ハルヒと鏡夜を除く部活メンバー全員が驚きの声を上げた。
しかし、別にそんな事はどうでもいいはフンッと鼻を鳴らしていた。


「ちょ、お前……女だったのか!?」


「ああ 隠すつもりはなかったんだけどな……まぁ、間違えてるからいいかと思ってな」


「ハルヒ、もしかして知ってたの?」


「え、あ……うん まぁ」


同じクラスである常陸院兄弟はとても驚きの様子。
目を見開き、馨はに光はハルヒに問い掛けていた。


「で……確か、家のご主人も奥さんも────……こういう事には厳しい方ではなかったかな?」


ニヤリ

そんな効果音が聞こえそうなくらいに、鏡夜は黒い笑みを浮かべていた。
の背筋にゾクリと悪寒が走る。


「何が……言いたい?」


「男口調を使っている事を、ご連絡したら……どういった反応が返ってくるかとね」


「てめっ……」


ギリ……

は奥歯を噛みしめ、鏡夜を睨んだ。

外では男口調を使っているが、家族の前では猫を被ってやり過ごしている
男口調を使い始めた頃は頻繁に家に連絡がいっていたが、うまく女口調を使ったりしてやり過ごしてきた。
最近だって時折は連絡がいくが、それも時がたつにつれ『はそういう人間だ』という考えが定着し連絡の数は減っていった。

そこへ、あの鳳家から連絡が入ればどうなる事か。



鳳が本当に連絡を入れようとすれば……証拠なんて簡単に集めやがるだろうな……



チッと舌打ちをした。
下手をすれば、こういう口調を使っている瞬間のビデオでも送る可能性だってあった。


「何が望みだ……まさか、俺にハルヒの借金を払え────なんて言うとは思えないんだけど?」


「当然だろう ハルヒは我が部の部員だからな
 止められては困る」


その答えは予測したものだった。
だからこそ、下唇を噛んでしまう。


「鏡夜先輩……まさか、まで……」


ハルヒは何となく、鏡夜が何を言おうとしていたのか予測できたらしい。
驚きの瞳で鏡夜を見つめていた。


「お前にも、我が部の部員になってもらう」


「は?冗談じゃねぇ!!」


鏡夜の言葉に、当然の如くの声が上がった。
なぜ、女の接客なんてしなくちゃならない────と。


「では、証拠を集め家へと連絡を────」


「待て!それは────」


その反応すらも、鏡夜の予測の範疇。
ふっと不適の笑みを浮かべ、を見つめる。

待つのはたった一言。


「────……分かった やればいいんだろ?」


「取引成立だな
 お前が部員になったからには、お前が男口調で生活し続けている事────……何が何でも家に伝わらないようにしてやろう」


の言葉を聞き、満足気の笑みを浮かべた鏡夜。
けれど、続けられた言葉には驚いた。
秘密にしてくれるだけでなく、家に伝わらないようにしてくれるという事に目を見開いた。


「な……」


「下手にバレて、の生活が雁字搦めにされては困るからな」


鏡夜の言葉に、の顔にふっと笑みが浮かべられた。



そういう事か……



「どうした?」


「いや?よろしく頼むぜ、腹黒鏡夜先輩?」


鏡夜の問い掛けに、は首を振る。
そして、ニヤっと笑みを浮かべると毒舌を吐いた。


「口に気をつけることだな、


「へいへーい」


パタンとの名前を部活用名簿に加え閉じた。


「しかし、はよく男の格好許してもらえたな」


「あー……女口調で話す事を交換条件にさ、男物でもOKって承諾貰ったんだよ」


「「守ってなくない?」」


「ったりまえじゃん 言う事きくつもりは毛頭ないし、家に泥塗る為だしな」


平然と口にするが、何とも重そうな話。
部員全員が、そこで言葉に詰まってしまった。


「なんだよ?」


「いや……」


「なんでもないよねぇ?」


の問い掛けに、視線をそらす光。
困っている部員に変わり、ハニー先輩こと光邦が可愛い声で可愛い仕草でそう言った。


「ふぅん?ま、いいけどな」


肩をすくめ、光邦の言葉を鵜呑みにした。











なんか、いきなり部活メンバーに加えられたのは、すげぇ迷惑極まりなかった
だけど、条件は凄くいいものだった
面白そうだしな、何よりも









to be continued...................




桜ホスの新連載スタート!!!(^_-)-☆
今回は馨夢で……とりあえず、ヒロイン設定に乗ってる部分は一話でだいぶ出せたかと思う。
まだ出てない他のはボチボチ出してくつもり。

家が探偵事務所を営んでるって下りは、学院内ならきっと有名だろうと思ったため省略してしまったあああ。(笑)






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