本当にハルヒはホスト部メンバーのアイドルだよな……
見てると、凄くそう思う
別に、他のやつらがチヤホヤしようが何とも思わない
だけど……光が構うと駄目なんだ

俺を見て欲しい……
俺を気に掛けて欲しい……
俺を気にして欲しい

なのに、あいつは──……











NotxxxPersist-ence 第二十二話











「ハールちゃん!ちゃーん!ひおしがりするぅ〜?」


「潮干狩りですか?」


「でもさ、時期じゃなくね?」


「引き潮でもないですし……」


光邦の言葉に、崇から潮干狩りセットを受け取りながらも首をかしげた。
時期でもなくて、引き潮でもなくて……ならば、どうやって潮干狩りをするのだろうか。


「あのね〜?いっぱい撒いたんだよぉ〜?」


光邦の言葉に反応し、視線を向けるとそこにはアサリやホタテやウニなどが岸辺にばら撒かれていた。
それは、潮干狩りという感じではないのだけれど。


「ほらハルヒ、でっかいホタテ ホタテ好き?」


「好き」


光の手渡すホタテを受け取り、ハルヒは満面の笑みを浮かべた。



あ……



その様子を見て、視線を反らしてしまう
何か、他に意識を向けられるものは……と必死に周りを視線で追い──ムール貝を見つけた。
必死にそれで話題をそらそうと、全員の輪の中に割って入っていった。


「お、ムール貝もあるぜ?」


「ハルヒ!!サザエだ!」


「アワビもあるぞ」


「タコ……」


「ハルちゃん、スイカ──!!」


それぞれがハルヒに見つけたものを持ち寄った。
それが初めは嬉しかったハルヒだが、それでも何度も何度も繰り返されれば『もういい』と思ってしまうもので。



あははっ
ハルヒの奴、困ってる困ってる



そんなハルヒの慌てる様子が面白かった。
だから、はにこにこと笑ってしまった。


「どーだ?ハルヒ!でっかいカニさんだ──♪」


両手で掴んだ大きなカニ。
環がそれをハルヒへ持ち寄りながら。


「カニは好きかに〜?」


そう問いかけた時だった。
カニからムカデがにょろりと飛び出てきた。
あちこちで悲鳴が上がり、逃げ惑う女生徒。


「ぎゃはははは!殿えんがちょー!!」


ホスト部部員といえば、笑いながら楽しみながら、環から逃げた。
けれど、ハルヒだけだった。
そんな環に近づいたのは。


「おいハルヒー?逃げねぇとムカデにくっつかれるぞ?」


少し離れてからは振り向き、ハルヒに声を掛けた。
けれど、ハルヒの足取りは止まることなく進み──


「ふうん……どこから着いてきたのかなぁ」


「……は?」


いきなりムカデを鷲づかみにすると、そのまま木々のあるほうへと放り投げた。
その行動に、の目は点になる。
いや、きっとそれを目撃していたほかの人達も。


「オマエさ、百歩譲って虫好きの心優しい少女だったとしてもさぁ……」


溜め息を吐いて、ハルヒの左肩に重心をかける光。


「せめて、草の上に放してやるとかないわけ?」


同じく溜め息を吐いて、ハルヒの右肩に重心をかける馨。


「いくらなんでも、投げんのはさ……」


そして、ハルヒの前に座り込み見上げ呆れる


「大丈夫だよ、あれくらいじゃ死なないって」



そりゃ、まあ……草のあるほうに放り投げてはいたけどさ……



それでも、と思ってしまうわけだ。
平然と言い張るハルヒに、は唖然としてしまう。
本当に、ハルヒは神経が図太いというか。



庶民はこうなのか?もしかして



そんな風に思ってしまう。
そんなハルヒに、ただ違う反応を示すのは。


「ハルヒくん、男らしいのね」


そうやってハルヒを絶賛する女生徒達だけだった。


「ハルヒに怖いものってないわけか?」


「いや、お前と違ってあるんじゃねーの?」


の言葉に光が笑って答えた。


「……俺を何だと思ってる」


「だって、オマエ本当に怖いものなしって感じがするじゃん
 怪我だって平気、痛みだって平気、性別間違えられたって何とも思ってないみたいだし」


当たらずしも遠からず。
だからは否定も肯定もしなかった。


「「あ」」


「あ?」


突如声を上げた光と馨に、は訝しげな視線を向け首をかしげた。
双子が浮かべる表情は、悪巧みをした時特有のものだった。



あ、こいつら何か考えてるな……



即座にピンときた。
そして、それがたぶんハルヒの事関連だろうとも分かる。
ちょっとだけ嫌な気分。
けれど、少しだけ面白そうとも思えそうな。


「殿 ゲーム思いついたんだけど、参加する?」


「ゲーム?」


「「題して 誰がハルヒの弱点みつけられるでしょうゲ──ム!」」


環の興味を引くと、そのまま双子はゲームの内容そのままのタイトルを告げた。
その内容に環の表情はもちろん引きつった。


「な……悪趣味な……」


「あ──……ごめんごめん、自信ないよね〜?」


「弱点なんて、親しくなきゃ見せてくんないだろーしー?」


間近でそんな会話を、は見ていた。
もちろん、参加するしないの発言はしはしない。
だって、これは双子と環の話だから。



あ、今環先輩のプライドに触れたか?



表情が硬くなったのが分かった。
かすかに環の頬に怒りマークが見えるような見えないような。


「ルールは?」


「期限は明日の夕方まで」


「先に弱点見つけた方が勝ち」


環の問い掛けに光と馨が交互に答えた。
腕を組み、挑戦的な──まるで負けないとでも言っているような笑みだった。



ハルヒのやつ、またおもちゃにされてんなー……
しかも、ハルヒの知らない場所で



溜め息を吐きながらも、止めない
主犯にはならないけれど、周りで楽しむタイプだ。


「それで?勝者の特典は?」


「ハルヒの中学時代の生写真各種」


「鏡夜先輩!?」


環の問い掛けに、ピッと写真を数枚だけ指に挟んで会話に割り込んだ鏡夜。
その言葉に、その手に持っている写真に、は盛大に驚いた。



つーか、なんで持ってんだ!?



まずはそこに突っ込みを一つ、入れたかった。
けれど、そんな事誰も気にせず双子と環は即座に乗ったのだった。



うーわー……



「ハルヒ、可哀そー……」


その様子を旗から見つめ、ポツリと呟く
けれど、この時巻き込まれることを全くは予想していなかった。









────かくして、熱い男のバトルが始まったのでありました。










to be continued...................






もうそろそろ主人公が中心に入り始めればいいかなと。
一応、主に主人公は周りから出来事を見つめてる感じになりつつあるなー。






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