私に話しかけるあなたは誰?
後ろ髪を引かれたように、振り返りたくなるのは何故?

私は────……そこにあなたが居ないことが分かっているのは……どうして?











RECOLLECT 第十七話











ズキンズキンズキン……

の頭を先ほどから叩き続ける痛み。
痛みに眉間にシワを寄せながらも、泣き言一つ呟かずにリナ達の後についていった。


「これなら、何事もなくクレスケレスにつけそうね」


「襲われないと分かっていれば、遠回りなどしなかったんだがな」


リナの言葉にゼルガディスが苦笑した。
襲われる確立を考えたからこそした遠回りだった。
けれど、どうやら無駄骨に終わりそうな感じだ。


「ま、仕方ないと諦めるしかないでしょうねぇ」


「そうですよ!あれこれ考えても過ぎてしまったことなんですから!」


ゼロスの言葉にアメリアは強く頷いた。
あの時ああしていれば、こうしていれば、なんていまさら考えても実行不可能。
ならば、今どうすればいいのかと考えるのが一番有意義だろう。


「…………」


さん?」


ふいに、無言のままのが気にかかったゼロスは首をかしげ顔を覗き込んだ。
そこには、青ざめた顔をしたが必死に地面を踏みしめる姿があった。


「大丈夫……大丈夫だよ」


「ですが、さん……真っ青ですよ?」


大丈夫だと気丈に振舞うだが、旗から見ればただの強がり。
ゼロスはの腕を取り立ち止まらせた。


「ゼロス?どうかし……!?どうしたの、その顔色!!」


ふいに止まった二つの気配と足音に、リナは振り返った。
同時に他の三人の足も止まり、リナと一緒に振り返り驚愕した。


「なんでもない……大丈夫だから、早く先へ行こう?」


「そんな顔で何が大丈夫なんだ?」


ゼルガディスの冷たい一言に、はうっと言葉を詰まらせた。
言っていることが正しくて、何も言えなかったのだ。


「ちょっと……頭が痛いだけ こんなの、少し経てば消えるよ」


一歩足を踏み出した。
瞬間、頭を襲う痛みにの眉間にシワが寄る。
歩こうとするの足取りはおぼつかなく、ふらふらと危なげだった。


さん、もう少しで町に到着ですから少し休んでいきましょう」


クレスケレスまでの道のりは短いとは言えない。
今無理をすれば、最後の方に支障をきたす。


「そうだな それがいいかもしれないな、リナ」


ゼロスの言葉にガウリイが頷き、リナへと意見を求めた。
リナもその意見には賛同だったらしく、ガウリイの視線がめぐってきた瞬間こくんと頷いた。











「……ごめんね、迷惑かけちゃって」


今思えば、出会いから迷惑ばかりだった気がし始めた
見ず知らずの自分のために協力をしてもらい、助けてもらい、今に至る。


「いいのよ、 仲間なんだから気にしないの」


樹に寄りかかり休むの髪の毛をくしゃっと撫でた。
リナは微笑み、を優しく見つめた。


「仲間……」


ポツリと繰り返し、嬉しそうには微笑んだ。

初めはそうじゃなかった。
けれど、それが次第に変わり関係が変化していった。


出せ


ズキン

聞こえた声と同時に感じる痛み。
眉を顰め、痛みに耐える。


「……さん、もしや……」


何かを感づいたかのように、ゼロスは瞳をうっすらと開きに近づいた。
から感じる気配が、前に感じたときよりもハッキリと感じ取れるようになってきていた。
けれど、それもまだ足らず、確証するには至らない。


「リナさん」


「ん?」


真面目な表情のゼロスは、リナに向き直ると一度ガウリイ達の方へと視線を向けた。


「何よ、ゼロス 言いたいことがあるならさっさと言いなさい」


一向に話そうとしないゼロスに、リナは痺れをきらしたように呟いた。


「ガウリイさん達を連れて、少し離れた場所に行っていてください」


「……なんだか分からないけど、分かったわ をよろしくね」


ゼロスのしようとしている事がリナは分からなかった。
けれども、その真剣な面持ちからしてのことなのだろうということだけは分かった。


「ええ、もちろんですよ」


ニッコリと微笑み、リナに背を向けの元へ行くゼロス。
リナもゼロスに背を向けて、ガウリイ達のもとへと向かい離れた場所へと移り始めた。


「ゼロス?どう……したの?」


全く現状の分からないは首をかしげ、近寄るゼロスを見つめた。


さん……いったいその身体の中に、何を秘めているんですか?」


真剣な口調に、ドクンと胸がなる。
ゼロスは何かに気付いている。
も知りえない何かに。
にしか聞こえない、声に。


「全く……さんは厄介なものを飼ってしまったようですね」


その身体を見つめ、ふぅっと溜め息を吐いた。


「え?」


「記憶喪失なのも……その所為でしょうかねぇ」


言いながら、ゼロスはの前に座り込んだ。
ゆっくりと手を伸ばし、の胸と鎖骨の間辺りに手を置いた。


「ちょっ……ゼッ」


「静かにしててくださいね?さん」


声を上げようとするの口を、空いたもう片方の手で塞いだ。



あの魔族を……この身体のうちに飼っているとは思いませんでしたねぇ



瞳を閉じ、その波動を感じようと探る。
すべては分からないけれど、あの時感じなかった存在をの中に感じた。


さん 単刀直入に言います」


「え?」


ゼロスの言葉に、はごくんと息を呑んだ。


「脱いでください」


「は……はいぃぃぃ────!?」










to be continued..............




セクハラゼロスw
そして、ヒロインの正体が明らかに??






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